日本人警察官の魂が眠る台湾仏教の聖地―獅頭山
高鉄新竹駅から車で約1時間。山道をひたすら進んでいくと、新竹と苗栗の県境に獅頭山が見えてきます。ここは山頂が獅子の頭に似ていることからこの名が付けられており、台湾十二勝の一つに数えられています。古くから台湾仏教の聖地として知られ、深い緑に覆われた山腹には大小いくつものお堂が建てられています。これらは歩道によって繋がっており、ハイキングに訪れる人も少なくありません。中でも、勧化堂は日本人ならばぜひ訪れたい場所です。ここの本堂には孔子と観世音菩薩が祀られていますが、その右側には日本人警察官であった廣枝音右衛門氏が祀られています。廣枝警部は第二次世界大戦中、フィリピンのマニラ市街戦で大勢の台湾人青年の命を救った人物で、当時の部下たちは30年ほど前から慰霊祭を行なってきました。現在、部下は一人のみとなってしまいましたが、慰霊祭は変わらず行なわれています。深山の清らかな空気に包まれながら台湾と日本との繋がりに思いを馳せてみましょう。