暮色に染まる美しい伝統集落―東莒島・福正集落
台湾の北西に位置する馬祖列島は30を超える島々で形成されていますが、東莒島もその一つ。ここは列島の中でもとりわけ秘境ムードが色濃く漂っている島です。この島の北端にある福正聚落(集落)には馬祖独特の伝統家屋が数多く残っています。ここは穏やかな入り江に面しており、かつては漁業で栄えていたといいますが、後に漁獲量が激減してしまい、村は凋落の一途をたどります。長らく廃村のような状態になっていましたが、現在は美しい景観と伝統家屋の存在が注目され、行楽客が訪れるようになりました。花崗岩を用いて造られた家屋は全体的に灰色っぽく見えますが、夕暮れを迎えると、これらは夕陽に染められ、穏やかな波間とともに一幅の絵画のような美しさとなります。現在、家屋群は馬祖国家風景区によって保存されており、中には民宿に再利用されているところもあります。