桃園台地に東方美人茶を訪ねる
数ある台湾茶の中でも特に人気が高いのが「東方美人茶」です。発酵度が紅茶に近く、質のよいものはハチミツのような香りがすると言われています。この茶葉は台湾北部で栽培されており、新竹県の峨眉や苗栗県の頭份、桃園市の龍潭などが産地となっています。東方美人茶は「小緑葉蟬(ウンカ)」と呼ばれる小さな虫が葉を噛むことによって発酵が進むと言われ、これによって独特な味わいとなります。茶葉をよく観察すると、葉の縁が赤っぽくなっており、芽の部分がやや曲がっているのがわかります。これはウンカが嚙んだことによるもの。同じ畑の中でも、ウンカは風通しの悪いところを好んで棲息するため、畑の周りを壁で囲んでいる茶農家も見られます。茶摘みの女性たちは平均60~70歳とやや高齢ですが、茶摘みの様子を眺めていると、熟練の業が光ります。手際よく、そして丁寧に、葉をひねるようにして摘んでいきます。茶摘みは早朝6時から8時間かけて炎天下の中で続けられます。こうした作業に支えられ、極上の東方美人茶は生まれます。