山間に響きわたる美しい歌声―ツォウ族の「マヤスヴィ」
嘉義県の阿里山一帯に暮らすツォウ族の人々。人口は七千人にも満たない少数民族ですが、その結束力は強く、部族の伝統文化を色濃く残しています。彼らは年に一度、「マヤスヴィ(戦祭)」という祭典を催します。二大集落である特富野(トフヤ)と達邦(タッパン、タパグ)で開かれ、「クバ」と呼ばれる男子集会所が会場となります。マヤスヴィはかつて勇士を讃える意味をもっていましたが、現在は神々の庇護に感謝する儀式であり、かつ青年たちを育成する意味をもちます。迎神祭から始まり、団結祭、送神祭など一連の儀式を行なった後、老若男女が歌いながら手をつなぎ、円陣になって踊ります。この際には戦神や祖先たちを讃える歌が唄われます。清らかな調べは山々にこだまし、人々を圧倒します。なお、マヤスヴィは指定された見学スペースからのみ参観が可能となっています。