台南市の消防史料館を訪ねる
台南市内の中心部、湯徳章紀念公園のロータリーに面して、旧合同庁舎の建物が残されています。中央に聳え立つ高い塔が目印となっているこの建物は日本統治時代に消防署と警察署を兼ねたものでした。中央塔はかつて火の見櫓で、1930年の落成時には、台南市内で最も高い場所だったと言います。木造家屋が多かった時代、ここから火災発生を監視していたと言われています。現在は修復工事を経て、2019年に消防史料館として開放されています。台南の消防史について学ぶことができ、1階には日本統治時代に私設消防団「台南消防組」を結成した住吉秀松氏に関する史料が展示されています。住吉氏は当時、消防車を寄贈するなど、台南の防災に尽力した人物でした。また、慈善事業にも熱心で、多くの人に慕われた篤志家です。ここではその功績について知ることができますので、少し多めに時間を取って見学したいものです。