2024APEC首脳会議代表団が帰国記者会見、APEC外交の成果語る
南米ペルーの首都リマで開催されたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が16日に閉幕した。頼清徳総統の代理で同会議に参加した総統府資政(顧問に相当)の林信義氏を含む台湾の「APEC首脳会議代表団」は20日午後、総統府で記者会見を開き、APEC外交の成果について報告した。記者会見には行政院政務委員(無任所大臣)を兼務する国家発展委員会の劉鏡清主任委員、行政院の楊珍妮政務委員、国家安全会議の徐斯儉副秘書長、外交部国際組織司の孫儉元司長らが同席した。
林信義氏は今回のAPEC首脳会議で、台湾が100万米ドルをAPECに寄付することを発表したことなどを報告した。また、19年ぶりとなるAPEC首脳会議出席について質問された林信義氏は、「20年近く歳を重ねたが、(20年前と比べて)台湾が国際社会に重視されていることや台湾人としての誇りが、自分の気持ちを若くしてくれた」と回答し、前回とは全く違う心構えでAPEC首脳会議に臨んだことを明かした。林信義氏はまた、「自分は台湾をとりまく情勢に大きな関心を寄せている。日本の石破茂首相も台湾海峡両岸間になんらかの変化があれば、全世界に与える影響は極めて大きなものになると繰り返し強調していた」と述べた。
林信義氏は、日本の石破首相やシンガポールのローレンス・ウォン首相を含め、多くの首脳と台湾情勢について語ったほか、台湾の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」加盟の可能性についても議論したことを明かした。これについては行政院の楊珍妮政務委員も「首脳会議の開催期間中、我々はほぼすべてのTPP加盟国と接触し、台湾がすでにTPP加盟の準備を整えていること、各加盟国が政治的考慮をせず、台湾のTPP加盟を受け入れてくれるよう要請した」と説明した。
この記者会見では、日本の石破首相との二者会談について記者の質問が集中した。林信義氏によると、石破首相はまず、台湾は日本にとって非常に安定した、且つ信頼に足るパートナーであることを強調し、台湾海峡の平和を重視する日本政府の立場を伝えたという。また、石破首相は台湾情勢に高い関心を寄せており、台湾海峡の情勢に変化があれば全世界に非常に大きな影響を与えることになるだろうと懸念を示したという。
林信義氏はこの会談の中で、石破首相が過去に「台湾と日本の間には共同防衛、防災などの方面で協力の余地がある」と発言したこと、また石破首相が防災分野に詳しく、経験も豊富であることに言及したところ、石破首相は今年4月に発生した台湾の花蓮地震では1~2日以内にインフラが復旧したこと、台湾では宗教団体のボランティアによる支援活動が盛んなことなどを挙げ、台湾の災害対応の素晴らしさを称賛した。
これに対して林信義氏は、台湾の宗教団体の信者は台湾だけでなく、世界各地で災害があるたびに駆けつけ、支援活動を行っていること、宗教団体だけでなく民間の救援ボランティア団体も世界各地の被災地に駆けつけて人道支援活動を行っていることなどを説明。石破首相はこの分野で台日交流を深めることが可能だと述べた。
台湾と日本の産業協力について林信義氏は、協力の分野は多岐にわたるが、とりわけ半導体のウエハファウンドリについては、日本が材料や設備で、台湾は製造で優位性を持つとして、こうした組み合わせのほか、サプライチェーンの移転や再配置など、台湾と日本は多くの分野で協力できると伝えた。
林信義氏はこのほか、台湾の中小企業やハイテク産業は海外、とくに台湾から近い東南アジア諸国で歓迎されており、台湾と日本が一緒になって第三国市場への投資を強化したいとする台湾側の考えを石破首相に伝えた。石破首相もこの考えに賛同したほか、世界保健機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)を含む国際組織への台湾の加盟について、日本も協力していきたいとする考えを示した。
林信義氏は、石破首相との会談が50分近くに及び、打ち解けた雰囲気の中で親睦を深めることができたとして、良い成果があったことを強調した。
Taiwan Today:2024年11月21日
写真提供:総統府
総統府資政(顧問に相当)の林信義氏(奥から2人目)をはじめとする台湾の「APEC首脳会議代表団」は20日午後、総統府で記者会見を開き、APEC外交の成果について報告した。